相続の承認及び放棄に関する判例の趣旨

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1.相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内であったとしても既にした限定承認を撤回する事はできません。

2.相続人が自己のために相続が開始した事実を知って、相続財産の一部である建物を4年の期間を定めて第三者に賃貸した場合、その相続人は相続の放棄をすることができません。この点、建物の短期賃貸借の期間は3年と定められています。よって建物を4年の期間を定めて第三者に賃貸した場合、当該賃貸借は短期賃貸借に当たらないため、その相続人は単純承認をしたものとみなされ相続の放棄をすることができません。

3.詐欺によって相続の放棄をした者が当該放棄を取り消すときは、その旨を家庭裁判所に申述することを要します。

4.限定承認者は、限定承認に関する民法の規定に従って各相続債権者に弁済をした後でなければ受遺者に弁済をすることができません。これは、相続債権者の多くは契約として債権を取得するのに対し、受遺者は被相続の単独行為により一方的に権利を取得するのであるから、相続債権者と受遺者を同順位で扱うと債権者に不利であるし、被相続人が相続債権者を害するために生前にいつでも遺贈をするリスクがあるからです。