遺言の方式又は効力に関する判例の趣旨

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1.自筆証書によって遺言を作成したが、後に遺言の文面全体に故意に赤色のボールペンで斜線を引いた場合、当該遺言を撤回したものとみなされます。なぜなら、遺言者が、赤色のボールペンで遺言書の文面全体に斜線を引く行為はその行為の有する一般的な意味に照らしてその遺言書の全体を不要なものとし、そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であるから、このような行為は「故意に遺言書を破棄したとき」に該当し遺言書を撤回したものとみなされるのです。

2.満18歳の者が法定代理人の同意を得ずにした自筆証書による遺言は要件を満たさないものとして無効とはなりません。なぜなら遺言は満15歳に達していればできるからです。(民法961条)

3.自筆証書により遺言を作成し、遺言の全文、日付、氏名を自筆した後に印章による押印に変えて手書きのサイン、いわゆる花押を記した場合、その遺言は要件を満たさないものとして無効となります。なぜなら判例は花押を書くことは印章による押印と同視することはできず、押印の要件を満たさないからです。

4.1通の遺言書として作成されている自筆証書による遺言が数葉にわたる場合、毎数葉の綴り目に契印がないときでも無効ではありません。なぜなら、自筆証書によって作成された遺言が数葉にわたる場合、その数葉が一通の遺言書として作成されたものであることが確認されれば、その間に契印がなくとも自筆証書の遺言書として有効であるからです。

5.自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付および氏名を自筆して、これに印を押さなければなりません。押印については、印章による押印に代えていわゆる指印を押すことで足りるかが問題となりますが、判例は、遺言者が印章に代えて拇印その他の指頭に墨。朱肉等をつけて押印すること、いわゆる指印をもって足りるとしております。我が国においては、文章作成者の押印があれば、印章による押印があるのと同等の意義を認める慣行ないし法意識が存在するといえるからです。