相続人の承認及び放棄

◇能力
相続の承認・放棄には、財産法上の行為能力を必要とする。

◇時期
相続の承認・放棄は相続開始後にしなければならず相続開始前になされた承認・放棄は無効である。

◇考慮期間
相続人は原則として自己の為に相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、承認又は放棄をしなければならない。
→考慮期間の3カ月は利害関係人又は検察官の請求によって家庭裁判所が伸長することができる。

◇考慮期間の起算点
※相続人自身
原則は3カ月の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは相続人が①被相続人の死亡の事実、及び、②自己が相続人であることを知った時という意味である。
例外は相続人が上記の時から3カ月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全くないと信じたためであり、かつ、そう信じるについて相当の理由があると認められたときには、相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうる時から起算することが許される。
※その他
①相続人が承認・放棄をしないで死亡したとき
→その者の相続人が自己の為に相続の開始があったことを知った時から起算する。
②相続人が未成年者又は成年後見人である時
→その者の法定代理人が未成年又は成年被後見人の為に相続開始があったことを知った時から起算する。

◇承認・放棄の撤回・取消し
①承認・放棄の撤回
いったんなされた承認・放棄はたとえ考慮期間が経過する前であっても撤回することができない。
②承認・放棄の取消し
→制限行為能力者が単独で相続の承認・放棄をした場合又は承認・放棄が詐欺・強迫によってなされた場合にはこれを取り消すことができる。
取消権は追認できる時から6カ月又は承認・放棄の時から10年で消滅する。